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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

『Risk Management』22年 3-4月号
2022-05-03

Risk Management

3-4月号

RISK Management 3-4月号
INDEX

北米、欧州、アジアの各国政府は、ロシアのウクライナ侵攻に対応し、ロシアに対して一連の制裁と輸出規制を課している。この措置は、明確な戦略に従っている。すなわち、人物や企業の特定、国際金融市場や銀行ネットワークへのアクセスの制限、特に技術を含む財サービスの輸出の制限、特定のタイプの事業活動に対するより広範な制限である。

これらの貿易政策的手段や戦略は、コンプライアンスやリスクマネジメントの専門家にはよく知られているが、だからといってこれらの制裁の解釈や対応は容易ではなかった。その一は、ロシアが農業、エネルギー、鉱物資源などの世界貿易において中心的な役割を果たしているG20国であるということであり、広範な制裁の対象となっている他の経済を上回る規模や範囲、そして複雑さをもたらしている。そして、2月下旬から3月上旬にかけて急速に制裁態勢が発表され、実施されたからである。

また、こうした状況は、ロシアから脱出したりロシアとの関係を断絶したり、あるいは侵略に対して立場を明確にする利害関係者や同僚、そして顧客によるプレッシャーを感じている組織やその従業員ととともに、コンフリクトが続いている間の重要な意思決定にさらなる複雑な影響を与える。

こうした背景の下で、ロシアに制裁を課している各国政府は、組織への影響を緩和させる一方で、組織に対してその措置を強化し、自国の経済に課されるコストを吸収することを明らかにしている。実際、制裁態勢の最も重要な側面の一つは、政府が制裁措置を課すことについてはっきりと合意に至った速さであり、多くの観察者たちを驚かせた。このコンフリクトが高まる数週間に準備作業が政府によって行われたが、それは、制裁措置の範囲(特に米国の制裁)、および支援の助言と手段のレベルの両面で目に見えるものであった。

それにもかかわらず、各国政府では、これらの措置が経済的痛みを伴うものであり、ロシアに対して敵対的意志を明らかにしている国々にとって、実質的かつロジスティックの面での課題であることを官民で認識している。一連の追加的な制裁のガイダンスや頻繁な質問は、このことを証明しており、制裁を推し進め、それに従おうとする組織にとって何らかの助けとなっている。

組織に対する勧告

程度は大きく異なるが、ほとんどの組織は、ロシアの危機に晒されていて、進展している制歳態勢に対応しなければならない。こうしたリスク遭遇可能性は、ロシア国内での直接的に業務することで、あるいは第三国に拠点を置く供給業者や流通業者を通じて間接的に、あるいはロシアの海外機関との関係を通じたものである。以下は、制裁へのアプローチを確実にうまくしていくうえでの一般的な検討事項のいくつかをみていくことにする。

1. 紛争の進展と制裁に関連する意思決定を確実に監視すること。このステップの一環として、制裁の影響を受ける組織からの疑問に応じて、ガイダンス文書、ライセンス、FAQを発行する政府機関に加入することができる。これらは、一般的には、異なるタイプの組織ために作られるが、それらは制裁措置の遵守の仕方や対策実施の方法、他の組織が悪戦苦闘ことに関する一般的な疑問に役立つ。

2. 組織とロシアやロシアの団体との結びつきの程度を評価すること。これは、投資家や株主、債権者や銀行、直接・間接的な顧客、供給業者、代理人、流通業者などの広範な契約相手、および他の供給業者や国など通じて、あるいは直接・間接的に調達されたロシア原産の財サービスを通して実施される

3. ロシアと直接的および間接的に接点を確立している場合、次のステップは、最終的な受益者を含めて、それらの所有と支配の構造を明確に理解することである。特に代理店、販売業者および想定される顧客の場合、これは、ロシア国内の制裁された事業体へのより広範なリスク遭遇可能性とそれらとの相互作用を評価することにまで及ぶ可能性がある。これによって、直接的かつ間接的制裁のリスク遭遇可能性の評価が可能になる。

4. 異なる制裁態勢の下で指定されているかどうかを確かめるために、ロシアとの関係が分かっている、あるいは関係が疑われる第三者を、適正評価ツールを使って、少なくとも確実に評価すること。指定・制限された事業体および個人の統合リストを参照することによって、自分がさらされているすべての制裁態勢を確実に説明すること。また、このプロセスの効率性を向上させるために自動化されたプロセスや分析を検討するが、赤旗や可能性のある取り組みが適切に評価され対処されることを確実にするためにいつ介入するのかを明確に定めるプロセスを有することが重要である。

5. 自身の外部との関わりを考察すること。取引銀行、保険会社、合弁企業、主要な供給業者など事業を可能にしている組織を検証し、ロシアとのビジネス活動の継続している彼らの考え方や、それらのリスク遭遇可能性を無くすか削減するための引き金となるポイントを理解する。これは、ロシアに対する制裁、国内での事業継続に関する評判の検討、あるいは制裁や市場から撤退する他の組織による実際的な問題によるであろう。また、制裁を課し、執行し、質問や問題を提起する関係政府機関と連携して、直接あるいはカウンセリングを通じて、情報に基づいた判断を下すべきである。

次のステップ

本稿を執筆している3月中旬時点で、ロシアに対する制裁態勢の広がりと深刻さがより重要となる、2つの潜在的な方向性がある。ここでの提言は制約の程度にかかわらず、どのようなものであっても、制裁がどのように強化されるかを概説することは価値があるだろう。

第一の可能性は、追随した国々がロシアに対して同様の制裁を正式に採択するか、あるいは正式に政策として採用しないが実質的にこれらの制裁を実施することである。ロシアと貿易する大規模なアジア・中東経済国の一部が加わることは、制裁体制の地理的広がりと既存の措置の有効性が重要な意味をもつことになるだろう。これらの国々は紛争が続くにつれて、制裁を採用または遵守するよう外交的圧力にさらされ続けるであろうが、これらの措置を採用する意思は、その国の政治的、経済的な考察を踏まえると様々であろう。これらの国に本拠を置く組織の中には、世界各地での活動に影響を与える法的リスクやレピュテーション・リスクへの懸念でいえば、他の政府の制裁措置をいずれにせよ受け入れることになるであろう。

第二に、現在制裁を行っている政府が、より幅広い分野へと制裁を拡大し、いわゆる「二次的制裁」という形で他国への制裁を行うことができるということである。これらは、制裁の経済的・政治的効果を最大化するという意味で、第三国の企業や個人に適用される措置である。

ロシアの石油・ガス輸出やロシア国内での開発・生産能力に対する的を絞った措置を検討するという政治的意思が、制裁を実施している国の間で強まっている。ロシアのエネルギー部門に対する制裁の最大の経済的・政治的障害は、EU経済圏のエネルギー安全保障におけるロシアの役割に起因するEUからの制裁である。制裁態勢拡大のもっとも重要な点の一つが、政府間での制裁措置に関する合意を維持する必要があるとし、EUの同意なしに、ロシアからの石油・ガス輸入を難しくする二次的制裁を米国や他の政府が一方的に課すことを期待していない。これは、紛争を取り巻く力学が進化し続けるにつれて変化する可能性がある。

 

トピックス
危機管理、新興リスク、国際、政治的リスク、規制、レピュテーション・リスク、リスクマネジメント、戦略的リスクマネジメント


注意事項:本翻訳は“Managing Risks from Russia Sanctions, Risk Management, March-April 2022, pp.47 RIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。

ヘンリー・スミスは、リスク・コントロール社パートナー兼中近東ビジネスのインテリジェンスおよびデューデリジェンス担当部門長。

過去数年間、ビジネス界では文化的な目覚めがあり、企業は従業員に容認できない行為に対する責任を積極的に負わせ、職場風土を向上させるよう促している。企業によっては目覚ましい進歩を遂げているものの、ハラスメントのない職場環境を構築し、維持するための困難な作業はまだ当分終わりそうにない。

従業員のフィードバック管理プラットフォーム「オール・ボイシズ」による最近の調査によると、正規社員の44%が、個人的なハラスメントやいじめ、差別的なハラスメントや偏見、オンラインハラスメントやネットいじめといった形で、職場でハラスメントを受けた経験があることがわかった。さらに、48%が職場で他の人がハラスメントを受けるのを目撃したことがあり、52%が職場で心理的な安全を感じなかったことがあり、34%がハラスメントの問題が未解決のために離職したと回答している。

リモートワークの普及が進んでも、ハラスメントはなくならない。オール・ボイシズによると、回答者の38%が、電子メール、ビデオ会議、メッセージング・プラットフォーム、または電話を通じて、依然としてリモートでハラスメントを経験していることがわかった。さらに、24%がリモートワーク・チャネルを通じてハラスメントが継続または悪化したと回答した。

変革を遂げるためには、組織はあからさまなハラスメントに対処するだけでなく、従業員が職場での交流を導くために必要な仕組みやサポート、ガイダンスを提供する必要がある。つまり、視点を変え、信頼を築き、従業員同士が互いをよりよく理解し、サポートできるよう手助けするための教育や研修を提供することである。

これを達成することは、従業員を惹きつけ、維持することができる包括的な風土を創造するための鍵であり、従業員が、共通の目的と共有の理想に基づいて協力し、革新し、団結することができる環境を作ることによって、組織が将来、有効に機能するための手助けとなる。これはまた、大量辞職によって引き起こされる人材不足の脅威と戦うことに役立つ。

ハラスメントのコスト

危機管理とコミュニケーションの専門家であるジョージ・シーガルは、フォーブスの記事で、「組織のコストに加えて、イメージ、評判、信頼性、オフィスでの不祥事は、組織の最終収益に影響を与える可能性がある」と書いている。実際、シーガルは、倫理・コンプライアンス技術を提供するボールト・プラットフォーム社が最近行った調査によると、過去1年間に職場の不祥事によって米国企業が受けた経済的打撃は「驚くべきであるが、202億ドル」であったと指摘した。

人的資源管理協会(SHRM)が提供した起点となる数値を基に、「2021年に職場の不祥事で休まなければならなかった労働者は、平均で6日間仕事を休み、4300万日の病欠となった。大量辞職を恐れる企業が増える中、調査では、過去12カ月間に職場の不祥事を経験したスタッフの14%が職務を離れるに至ったことが明らかになった。新しい労働者を雇用するための平均的なコストを4,000ドルとすると、職場の不祥事の直接的な結果として、米国企業が再雇用に要するコストだけでも202億ドルに相当する」と、ボールト社の調査は報告した。

さらに、この試算には、これらの事例の弁護士費用や賠償金その他の費用は含まれておらず、雇用コストに関するSHRMの数値は、大量辞職や労働市場の悪化よりも前のものであるため、氷山の一角に過ぎないのである。

ハラスメントを認識する

ハラスメントを止めるには、ハラスメントが進行していくことを理解することが重要である。噛み付くような発言、鼻で笑う、歓迎されないからかいなど、最も穏やかな形であっても、ハラスメントを放置すれば職場環境を汚染させる可能性がある。場合によっては、そのような行為はハラスメントの厳密な法的定義に合致しないかもしれないが、他者を煽り、その行為をエスカレートさせ、ハラスメントに発展させる可能性がある。そうなってしまうと、問題の解決はより困難で、よりコストがかかってしまう。

ハラスメント風土の陰湿なところは、見つからずに済む可能性が高い暗い場所で成長し、報告されないことで増長し、それが許容されることで広がっていくことである。より微妙な形では、ハラスメントは通常のレベルまで上昇し、時にはジョークや友好的な冗談のようにして覆い隠され、自覚亡き差別という形で損害を与え続けることがある。そのため、人々は無力感を感じ、何を言っていいのか、何をしていいのかわからなくなることがある。その結果、孤立し、不信感を募らせ、最終的には組織からの離脱につながり、そのすべてが水面下で進行している可能性がある。

ハラスメントが気づかれない理由のひとつは、従業員や管理職には、問題に直接取り組むため、あるいは解決に向けて働きかけるために必要なツール、戦略、組織体制、サポートがないことが多いという事実である。初期段階の介入に焦点を当てることは、従業員や管理職が職場における行動の境界線を認識するのに役立つ。これは、効果的な介入行動に関する傍観者のためのガイダンスと組み合わせることで、ハラスメントが定着する機会を得る前に、ハラスメントを抑止する強力な手段を生み出すことができる。

革新的変更のための要素

ハラスメントの背景には、歴史的、構造的、文化的な要因があるかもしれないが、従業員と協力して革新的な変更を起こすとなると、常に教育が解決の中心となる。しかし、職場教育は簡単ではない。新しい概念やアイデアを学ぶ能力はしばしば個人の人生経験に影響されるため、何が全員に有効で、何が先天的または無意識なバイアスの抵抗に遭うかを知ることは特に困難である。最善であっても、教育や研修は自覚を促し、自己発見を支援することで、否定的なパターンを遮断し、ポジティブな行動を構築することにしか役立たない。教育や研修は、共通の考え方によって人々を結びつけ、共通した決意感覚を育むことができる。重要なのは、不快感、懐疑的な態度、消極性といった障壁を打破できるような教育経験を形成することである。

教育的な取り組みが効果的であるためには、はじめに経営トップの了承を得る必要がある。その後の展開は、綿密なコミュニケーション・キャンペーンに組み込まれたものでなければならない。このキャンペーンは、管理者を計画プロセスに参加させ、進捗状況を評価するための段階を設け、抵抗勢力に対処し管理するための戦略によって取り組みを強化するものでなければならない。

革新的な変更を達成するためには、集団としても、個人としても考え方を変え、行動に影響を与える力を持つ、的を絞った研修を打たなければならない。そのための七つのステップを紹介する。

  • 意識を喚起する。ハラスメントを特定し対処するための最初のステップは、公正、尊敬、理解の環境の中で働くことの重要性について、意識を喚起することである。ハラスメントのない環境は、特定のグループだけでなく、すべての人に利益をもたらすものであることを理解させる。
  • 自己発見を促す。対話型演習を行うことで、従業員の自己発見を助ける。自分の盲点を自覚させ、故意または不注意によって、自分の行動がどのようにして他者を消沈させるのかを理解させる。自分の選択がいかにその場の結果に直接的な影響を与えるのかを理解させる。
  • 実際の人とつながる。実際に起きた物語で壁を打ち破れ。この種の話は、人間としての本質に迫り、思いやり、共感、理解を引き出すので、特に効果的である。物語が思慮深い方法で共有されれば、それが本質的に他人事であると考える可能性は低くなる。
  • 関連しうる事例を共有する。真実味があり、関連性のあるシーンを見ることは、学習プロセスにおいて重要な役割を果たす。ビデオを通して伝えられた物語が、強力で記憶に残る方法でどのように共鳴するかを考えてみよう。その逆もまた真なりで、明らかに嘘くさいセリフの退屈な物語は、不快感を起こさせ、学習効果を後退させてしまう。
  • 露骨なハラスメントにとどまらず、グレーゾーンを明らかにする。露骨なハラスメントを「してはいけない」として指摘するのは容易であるが、ハラスメントがはるかに複雑であることを示すのは、はるかに困難であり、より価値のあることである。ハラスメントは、最初は無害に見えても、だんだんエスカレートして深刻になる。その境界線を明らかにし、複雑な状況をどのように解釈するかを学ぶことが、前進するための鍵である。
  • 自分を振り返る時間を作る。新しいアイデアやコンセプトを浸透させるには時間がかかるため、自分たちが学んだことを一時停止して振り返ることは非常に重要な意味を持つ。また、学んだことを自分たちの生き方にどう生かすかを考える時間も必要である。
  • フォローアップと反復によって学習を強化させる。学習は決して一度だけでいいものではない。思慮にとんだ建設的なフォローアップと一貫した反復によってこそ、学んだことを保持し、その教訓を日常的に実践することができる。つまり、このことは思慮に富んだ議論やフィードバックのための出発点として、研修経験を活用することを意味している。

実質的なハラスメント防止研修は、誰もが自分の価値を実感し、理解されていると感じられる、より一体感のある職場作りに役立ち、個人の経験を向上させ、士気や企業文化全体を高めることができる。その結果、人々が自信と快適さと安らぎを感じ、より創造的、協力的、革新的になれる雰囲気が生まれ、最終的には組織とその従業員がより大きな成功を収めることができるようになるのである。

トピックス
コンプライアンス、健康・ウエルネス、人材、リスク管理、安全、職場暴力


注意事項:本翻訳は“How to Strengthen Harassment Training and Improve Workplace Culture, Risk Management, March-April 2022, pp.32-36 RIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。

ナターシャ・ニコルソンはダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン、ハラスメント防止研修に焦点を当てたe-ラーニング会社、カントラ・トレーニング・ソルーションズ社シニアコンテンツマーケティングマネージャー。

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