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吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。

【Web版】『Risk Management』24年5月号_RISK WORLD2024
2024-05-24

Risk Management

【Web特別版】

5月号

2024年5月-6月号Web特別版_RISK WORLD
INDEX

効果的なERMプログラムを開発するための10のヒント

マイケル J. コーリー[*]


 全社的リスクマネジメント(ERM)プログラムの開発は、経験豊富なリスク専門家にとっても困難な作業である。万能のアプローチはないが、何十年にもわたって直面してきた課題とリスクマネジメントで学んだ教訓からまとめた以下のヒントは、組織がERMの成功を収めるのに役立つ。

  1. 簡潔なERMミッション・ステートメントを作成する

 強固で意味のあるERMプログラムの確立に向けた重要な第一歩として、すべての企業は、ERMの主要な目的を説明するミッション・ステートメントを作成し、記憶させることを検討すべきである。声明は、空虚な流行語や専門用語ではなく、行動可能性に焦点を当てることで戦略と戦術の実行を組み合わせた、理解、コンセンサス、透明性を促す簡潔なものでなければならない。

 ミッション・ステートメントは本質的に、ERMの「何を」と「なぜ」を結びつけるものでなければならない。例えば、「全社的リスクマネジメントとは、企業の戦略的なビジネス目標を達成する能力を損なう可能性のある全社的なリスクを特定し、評価し、軽減し、監視するプロセスである。」

  1. リスクマネジメント・フレームワークを設定する

 ERMのミッション・ステートメントを発展させ、リスクの専門家は、もう1つのプログラムの基礎であるリスクマネジメント・フレームワーク(RMF)を策定すべきである。本稿は、あなたのERMプログラムを「売り出し」、ガイドするための権威あるマニュアルである。

 成功するすべてのRMFには、3つの重要な明確な要素がある。最初のセクションで、ERM の文脈を設定する。そのために、自社のアイデンティティを確認し、ERMが目に見える変化をもたらすことができる理由を説明するために、以下の質問を投げかけよう。自社は何をしているのか、また、自社のユニークな事業特性や成功の原動力は何か。リスクマネジメントとどのような関係があり、それにどのように依存しているか。ERMの規律は、利益パフォーマンス、資本の保全、流動性の維持、評判の保護など、会社の高いレベルでの事業目標にどのような影響を与える可能性があるか。

 RMFの2番目のセクションでは、企業の全体的な文化モデルを詳述し、企業のアイデンティティ、企業が何を認め、何に報いるか、企業が期待する倫理的行動を詳述することによって、ERMの基礎となる要素を確立する。その際、防衛線別に役割と責任を明確にしたリスクガバナンス体制を構築する。非常に高い組織レベルでは、RMFのこの第2セクションは、リスク取得意欲と許容度の概念についても言及すべきであり、その他のレベルでは、取得意欲が事前に定義された閾値を超過する特定の点を検討し、警告を発し、評価および/または是正措置をとる。

 RMF の3 番目のセクションでは、ERM の戦術的実行に対処する。このプロセスは、以下の要素で構成される。1) 反復する形でリスクを特定し、正味での結果をリスク遭遇可能性の範囲に収める。2) 一貫性があり、透明性を確保する方法でリスクを、特に重大性と可能性に焦点を当てて評価する。3) 明確に定義された統制を通じて、内在するリスクの重大性と可能性を受容可能な残余レベルまで軽減する。4) 継続的にリスクを監視し、主要リスク指標(KRI)などの重要な指標を特定し、社内外向けにレポートを配布する。

  1. 企業文化全体をリスクマネジメントにつなげる

 リスク文化は、リスクを取ることに対する会社の従業員の共通の理解と行動態度を表し、ガバナンス、訓練、リスクと整合性をもつ業績とビジネス行動などの重要な要素で構成されている。貴社のリスク文化は、常に誠実さと倫理観をもって事業を遂行することを要求する企業文化全体とどのように結びついているか。

 簡単に言えば、企業は包括的でかつ公正な、業績の高い環境を醸成するよう努めるべきである。すべての従業員は、自分のキャリアを前進させ、目標に向かって進むために最善を尽くし、その可能性を最大限に発揮するように権限を付与されていると感じなければならない。全体的な文化は、日々の意思決定の指針となり、ブランド・アイデンティティを、期待され、かつ報われる行動と結びつけるべきである。

  1. リスク領域を明確にする

 リスク領域を定義する際の重要なポイントは、一つのリスクも見逃さないことである。また、新たに発生するリスクを容易に取り入れることができるように柔軟性を確保し、意味があり、理解しやすい方法でその領域を細分類または分解することも重要である。

 たとえば、財務、業務、戦略という3つの中核カテゴリーを最初に設定することを検討するとよい。これらのカテゴリーは、企業がどの業界を代表するかに関係なく、すべてのリスク一覧表に一貫して使われている。次に、収益の流れを反映したカスタマイズされた中核的なリスクカテゴリー(小売、製造、建設、保険など)を構築できる。

  1. 公式で自動化されたリスク一覧表を制度化する

 自動化されたリスク登録ツールの完全な実施と一貫した使用は、ERMの成功にとって不可欠である。単なるスプレッドシートでは間に合わない。理想的なリスク一覧表は、少数の主要なリスク属性(原因、帰結、統制、主要リスク指標)に焦点を当て、リスク評価と優先順位付けを可能にする測定基準(重大度と可能性、方向性と速度)を選択すべきである。最初から説明責任を確立するために、リスクごとに1人のリスクオーナーを任命することが重要である。

  1. リスク格付けスコアを継続的に磨き上げる

 リスクガバナンスとリスク文化の双方を確立するためには、理解しやすく透明性のある重大度と可能性の評価尺度を確立することが極めて重要である。単純な説明的な識別子(例:高、稀)は、潜在的な誤解に晒される可能性があることに留意する。そうではなく、重大度と可能性の定義を具体的にし、必要に応じて定義を修正する。

 例えば、重要度の決定は、財務的影響、ブランド/評判、規制または戦略など、多くの異なる指標に基づいて予測することができる。問題となるリスクに適し、リスクオーナーの心に最もよく響く指標であれば、どんなものでも使う。

 可能性の観点からは、評価尺度はリスクイベントが発生する確率を測るべきではない。むしろ、自分たちで作成した重大度表で定義されているように、重要なイベントの可能性を扱うべきである。「ほぼ確実」という評価は、毎年1回、重要なイベントを予測するものであろうし、「稀」という評価は、50年に1回、重要なイベントを予測するものであろう。

  1. 重要リスクに関する方針を策定する

 リスク方針は、重要なリスクの特定と管理に対する企業の全般的なアプローチを明確にすべきである。方針は意思決定に対する高い組織レベルのアプローチであり、重要な裁量権を含んでおり、しばしば定性的な尺度ではなく、定性的な言葉で描写される。

 大まかな尺度としては、リスク領域内に十数個の重要リスクに対する方針を示すべきである。各リスク方針は、一般的に、1)当該リスク方針の定義、2)リスク方針での目標、3)防衛線別に区分されたリスク軽減のための統制、4)リスクを管理するための役割と責任、5)当該リスクに対するリスク取得意欲、6)限界を超えた場合の具体的なリスク許容度と上申規定、を取り扱うべきである。

  1. 組み込まれたリスクガバナンス構造を積極的に促進させる

 ERMは、決して独立したサービス機能と見なしてはならない。むしろ、組織全体の重要な意思決定プロセスに意識的に組み込まれた規律と見なすべきである。リスクマネジメントの日常的な実務の第一義的なオーナーシップは事業部門にあり、ERM、コンプライアンス、内部監査などのリスク関連機能や、リスク関連の取締役会や委員会からの支援を受けている。

 リスクガバナンスの構造は、防衛モデルの3つのラインに最もよく表されている。日々のリスクマネジメント、統制、監督、および独立したリスク対策保証が、以下のグループに割り当てられている:

  • 第1線: 事業部門とそれを支える機能
  • 第2線: 第1線における統制の設計と運用の継続的な監視と課題に責任を持つすべてのグループ
  • 第3戦: 第1線と第2線の両方が挑戦することを含め、リスクマネジメントに関する独立した保証に責任を有する主体
  1. すべての主要リスクに関して取得意欲と許容度を設定する

 リスク取得意欲は、リスクを引き受け、その後、会社と資本を損失のリスクにさらそうとする全体的な意思を表す。取得意欲声明やガイドラインを通じて伝えられる、リスク取得意欲に関する一貫した、透明性のある、期待される行動の確立と実施は、リスクマネジメント・フレームワークにとって極めて重要である。

 より深く掘り下げていくと、リスク許容度は、特定のリスクに対する所得意欲を超える事前に定義された、特定の閾値を反映し、管理職による発動、評価、および/または潜在的な是正措置を誘発する。主要リスク指標(KRI)は、各リスクを定量化し、監視する方法を提供する測定基準である。企業が効果的にリスクを監視し、管理し、軽減するのを助けるための早期警戒システムとして機能する、変化に関連した測定基準である。

  1. ERMを他のリスク関連規律と結びつける

 強固なリスクマネジメント・フレームワークを構築し、それを遵守すれば、リスクに関する問題に正面から向き合えないことはないことになる。次のリスク関連分野について検討する:

  • ガバナンス、リスク、コンプライアンス(GRC): これはリスク領域のサブカテゴリーで、少数のリスクをわずかに異なる方法で切り分ける。
  • 環境、社会、ガバナンス(ESG): これは、RMFの基本セクションに記述されている全体的な文化モデルからの教訓だけでなく、運用上の(例:コーポレートガバナンス)リスク遭遇可能性と戦略的な(例:気候リスク)リスク遭遇可能性が混在している。
  • 多様性、公平性、包括性(DEI):  DEIイニシアチブは、本質的にリスクに関連しており、ESGと同様に、リスク一覧表(例:人事、人材管理/保持、コンプライアンスなどの業務リスク)と、さらに重要なことに、倫理、文化、ガバナンスなどのRMFに含まれる基礎的な要素の両方の視点を通して見ることができる。

 リスクに関連する課題が、リスク領域内の実際のリスクであれ、リスクマネジメント・フレームワーク内で扱われる原則であれ、ERMの規律を適用することは、組織が直面する広範なリスクに対処するためのものである。

トピックス
全社的リスクマネジメント、リスクアセスメント、リスクマネジメント、戦略的リスクリスクマネジメント



注意事項:本翻訳は“10 Tips for Developing an Effective ERM Program ”, Risk Management Site  ( https://www.rmmagazine.com/articles/article/2024/05/02/10-tips-for-developing-an-effective-erm-program) May 2024,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。

マイケル・J・コーリーは全社的リスクマネジメントの戦略的および戦術的側面において35年以上の経験を持つリスクマネジメント担当執行役員。現在、GRCソフトウェアプロバイダーのダブルクリック社でERMベストプラクティスに関するアドバイザーを務める専門家。

RISKWORLD 2024: ピーター・ディアマンディス、将来の技術革新を推進する5つのトレンドを語る

ジェニファー・ポスト[*]


起業家兼未来学者のピーター・ディアマンディスは、リスクと保険の専門家が集まる、サンディエゴで5 月 6 日(月)に開催されたRIMS年次大会 RISKWORLD 2024 のオープンセレモニーで講演した。複数の企業の創設者であり、技術の将来に関する本の著者でもあるディアマンディスは、機械学習、ロボット工学、ヘルスケアなど、さまざまな業界における新しい技術の急速な採用と進化、そしてAIアプリケーションの長期にわたる有効性に焦点を当て、語った。ディアマンディスは、グーグルの共同創設者で未来学者でもあるレイ・カーツワイルの言葉を引用し、「今後10年間は、過去100年間に達成した技術進歩と同等の技術進歩を経験するだろう」と語った。 ディアマンディスは、自分の主張をさらに説明するために、今後6年間に私たちの生活に影響を与える技術の5つのメタ・トレンドに焦点を当てた。 コミュニケーションとセンサーの偏在 現在、エネルギーの豊かさが大幅に増しており、新しい技術がそれを安価にしている。ディアマンディスは「われわれは、あらゆるものがどこでも、常に接続され、その上、いつでも、どこでも、何でも知る能力を持つ時代に向かっている」と語った。例えば、ディアマンディスは、間もなく世界のどこでもギガビット接続速度を提供できるようになるスペースX衛星、無限の量のデータを提供できる腕時計、5Gの100倍の速度を持ち、2028年にも配備が予定されている出現しつつある6Gを挙げた。彼によると、6Gは1秒間に142時間のNetflixをダウンロードできるほど高速だそうだ。「もう二度とベッドから出られないよ」と彼は言った。 人工知能の成長 ディアマンディスによれば、AIは「人類が現在行っている唯一の最も重要なこと」であり、1956年以来存在しているにもかかわらず、なぜ現在、この技術が急成長しているのか、4つの理由を示唆している。
  • 計算能力は2年ごとに倍増している
  • 世界のデータも約2年ごとに倍増している
  • 人工知能システムを訓練するためのコストは、過去5年間で99.5%減少した
  • AIにはかつてないほど多くの資本が投入されている
ディアマンディスは、AIがこれまでと同様に支配的になりつつある中では、「この10年が終わったころには、AIをフルに活用している企業と廃業している企業に2分されるであろう」と語った。 ロボットの登場 ロボット工学は、AIの進歩を活かした広大な産業であり、遅かれ早かれ、皿洗いや風呂掃除をするロボットが登場するかもしれない。ディアマンディスは、起業家であり技術者でもあるヴィノッド・コースラの言葉を引用し、「25年後には、10億台の二足歩行ロボットが存在する可能性がある」と主張した。これはGDP、生産性、そして人間の幸福を根本的に変えるだろう。これらのロボットは、それらが代替した人々を支えるだけの価値を生み出すことができる」と語った。 自動運転の未来 Lyft、Alphabet、Uberなどの企業は、すでにヨーロッパ、カリフォルニア、アリゾナで自動運転電気自動車を展開している。自動運転のエアタクシーがあなたを迎えに来て、時速150マイルで一直線に、密集した渋滞を避けて飛ぶことができ、ドローン配送は、注文してから数分以内にあなたの正面玄関まで直接荷物を届けることができるようになる。 長寿と健康寿命 ディアマンディスは、資本、人工知能、量子技術、バイオテクノロジー革命、診断革命により、われわれは健康寿命革命の出現に直面していると言う。ディアマンディスは、科学技術が人間の寿命を150歳以上に延ばし、老化の影響を逆転させ、機能不全に陥っている臓器に代わる新しい臓器を作り出し、病気が発症する前に特定することができるようになる、「健康寿命革命の真っ只中にいる」と考えている。私たちは、人類史上最も特別な時代に生きているのです」と彼は言った。「人生は、それを延ばさなければ短いものになる」 トピックス 技術
注意事項:本翻訳は“ RISKWORLD 2024: Peter Diamandis Shares Five Trends Driving Future Innovation”, Risk Management Site (https://www.rmmagazine.com/articles/article/2024/05/07/riskworld-2024-peter-diamandis-shares-five-trends-driving-future-innovation ) May 2024,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。 ジェニファー・ポストは本誌編集者。

RISKWORLD 2024: リスク専門家、人工知能に関する最大の懸念事項について話し合う

ジェニファー・ポスト[*]


 5月7日、リスクマネジメントの専門家たちがRISKWORLDのパネル・ステージに登壇し、世界経済フォーラムの「グローバルリスクレポート2024」と、リスクマネージャーがこれらのリスクにどのように対処しているかについて議論した。パネルには、マーシュ・マクレナン・ヨーロッパ社商業事業担当取締役カリーナ・クリント、マーシュ・アドバイザリー社最高経営責任者兼新興リスク担当リード・ソーヤー、そしてセジウィック社グローバル・リスクマネジメント担当最高責任者デビッド・アリックとレンド・リース社リスク・保険担当取締役ケビン・ベイツの2人のRIMSの取締役が参加した。

 報告書のいくつかの重要なポイントからプレゼンテーションは開始され、クリントは、組織的な金融破綻が最大懸念であった2012年から、人工知能に煽られた誤情報と偽情報が最大懸念になっている2024年までの間に、リスクがどのように変化してきたかを説明した。「これは、人工知能が我々に大きな打撃を与えたという事実と大きく関係しています」とクリントは言う。「AIは数年前から存在していましたが、この1年で、本当に常識になり、非常に利用しやすくなった」。AIに煽られた誤情報と偽情報は、今年と来年の選挙および経済に対して大きな影響を与えるであろうが、誤情報を広めることだけがAIに関するパネルの懸念事項ではない。

 「私たちの仕事でAIの問題に取り組み始めるには、2つの核心的な側面があると思う。1つ目は、私たち自身と経営リーダーが十分に自問自答しているとは思えない問いです。それは、自分たちの環境でこのツールを使い始める際の賠償責任に関する評価とは何かということです」とリードは言う。例として、彼は、ほとんどすべての組織がAI導入の実験を行っており、組織内でAIツールやモデルを安全に利用できるように努力している企業もあるが、結局のところ、AIツールやモデルは他人のものであることに変わりはないと指摘した。リード は、ある AI モデルを使用しているにもかかわらず、別の AI モデルを運用および展開している顧客がいることにも言及した。

 アリックは別の興味深い問題を提示した。それは、AIモデルを最新の状態に保ち、「ゴミが入り、ゴミが出ていく」というパターンに陥らないようにする方法である。彼は医療分野を例にあげ、特定の病気の既存の診断に関する最良の医学雑誌が必要な場合、矛盾する情報や診断を防ぐために、どのようにしてモデルを適切に最新の状態に保つのか」と、述べた。「プロフェッショナルなサービスやその他のビジネス用途にも応用できると思うが、『この小さな動物(AI)の世話をするにはどうすればよいか、また、その結果を統制し、どのように検証するのか』に関する、ガバナンス構造を持つ必要がある。」

 ベイツは、それは企業文化とリーダーが従業員にリスクをどのように伝えるか依存すると付け加えた。「してはならない」という形でのプロセスや誓約をもうけることはできるが、それに従って行動できるかは、企業文化やリスク文化にかかっている。しかし、ディープフェイクは現実に起こりうるし、他のことでは知的で勤勉な従業員であっても彼らをだますこともある。基本方針と強力な会社のリスク文化だけが、従業員を行動にまで動かすことができるのです。ベイツは聴衆に向かって、言う。「あなたのCFOは決して送金しろとは言わない。そんなことは起こらないだろうし、ナイジェリアの王子も言わない。」

トピックス
サイバー、新興リスク、リスクマネジメント、技術



注意事項:本翻訳は“RISKWORLD 2024: Risk Professionals Discuss Top AI Concerns ”, Risk Management Site  (https://www.rmmagazine.com/articles/article/2024/05/08/riskworld-2024-risk-professionals-discuss-top-ai-concerns ) May 2024,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。
ジェニファー・ポストは本誌編集者。

RISKWORLD 2024: チャブ社エバン・グリーンバーグ、世界貿易、AI、気候変動の影響について語る

ジャスティン・スミュリソン[*]


 5月7日(火)にサンディエゴで開催されたRISKWORLDの対談で、チャブ会長兼CEOエバン・G・グリーンバーグとエーオン社長エリック・アンダーセンは、世界経済を牽引する米中関係、人工知能の台頭、環境リスクがリスクや保険の専門家の意思決定にどのように影響し続けているかを掘り下げた。

 米通商代表部通商政策・交渉諮問委員会の委員長就任を経験したグリーンバーグは、各国は保護主義的な見方や手法を採用しており、それがインフレを促進し、経済発展を妨げていると指摘した。「[米国]を含む各国は関税を課し、他国から製品の参入を阻止している」とグリーンバーグ氏は述べた。「これはサプライチェーンに緊張を与える。」

 グリーンバーグは、米国が中期的に直面する最大のリスクは赤字であると述べた。同氏は「34兆ドルの未払い残高がある」とし、今年は2兆ドルの増加を見込んでいると述べた。また、議会の支出が重要な赤字要因であり、赤字はいずれ軍事支出を上回るだろうと付け加えた。他の国々がそうした負債を買う可能性がますます低くなっているため、これは持続不可能である。グリーンバーグは「われわれは自らの負債を現金化しているので、それを行うのはわれわれ自身に依存している」と述べた。「それはイノベーションのための資金を締め出す。それは成長する能力も締め出す。これは、目に見えないところに隠れている話題だ。」

 米中関係について、グリーンバーグは、習近平国家主席とここ数カ月で数回会談したと述べた。また、両国は緊張を高める国内リスクに対処しているため、両国の関係は戦略的安定性ではなく「技術的安定性」として特徴づけられると述べた。

 また、「中国には他の国と同様に自ら発展させる権利がある」が、西側にとってはその範囲や規模、統治方法に不安がある、と指摘した。中国経済については、楽観視していないと述べた。

 「彼らが正しい方向に向かっているとは思えない」と述べた。「彼らはより国家主導で、国家計画の経済になっている。民間セクターの動きは速いが、中国では民間セクターに対する支援が不足している。彼らはやる気を削がれている。彼らは自信がないので、革新的ではない。彼らは本来あるべき支出をしていないため、最終的には消費者であるすべての労働者に影響を与えている」と指摘した。

 AIが保険に与える影響も対談の重要な部分であり、グリーンバーグは、ゲームチェンジャーではあるが、まだ「息もつかせぬ」状態にはなっていないと述べた。彼は、保険業界は効率を向上させるために大規模な言語モデルの可能性を探求し、その開発と応用への投資を継続する必要があると述べた。

 グリーンバーグとアンダーセンは、最後に気候変動に関する議論で締めくくった。この議論は、カリフォルニアがRISKWORLD 2024の開催地であることを考えると、特に緊急を要するものであった。彼らは、同州が猛暑、山火事および洪水に取り組んでいることに留意し、保険市場の形成における気候変動の極めて重要な役割を強調した。環境、社会およびガバナンス(ESG)といった検討事項を意思決定プロセスに不可欠に統合することを強調した。さらに、グリーンバーグは、行動が究極的に保険料率を押し上げるものであると述べた。

 「社会を動かし、経済行動を変え、そして社会行動を変えるものがある」と彼は付け加えた。「価格シグナルは非常に強力な力だ。気候保険会社はお金を印刷しない、私たちはお金を仲介する。気候変動のコストは、当然のことながら、はるかに大きな不安性をもたらしている。私は特定の管轄区域は持続可能な政策を採用していないと思う。これは、この問題すぐになくなるものではありません」と述べている。

トピックス
気候変動、経済、環境リスク、保険、技術


注意事項:本翻訳は“RISKWORLD 2024: Chubb’s Evan Greenberg on the Impact of Global Trade, AI and Climate Change ”, Risk Management Site  (https://www.rmmagazine.com/articles/article/2024/05/08/riskworld-2024-chubb’s-evan-greenberg-explores-the-impact-of-global-trade-ai-and-climate-change ) May 2024,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。
ジャスティン・スミュリソンはRIMSビジネス・コンテンツ担当管理者。

RISKWORLD 2024: 今年の RIMS賞の受賞者は…

ヒラリー・タットル[*]


 今週サンディエゴで開催されたRISKWORLD 2024大会で、RIMSは当協会最優秀賞をリスク・保険業界のメンバーに授与した。

 ハリー・アンド・ドロシー・グッデル賞は、生涯にわたる業績とリスクマネジメント・コミュニティへの貢献が認められ、RIMSオーストラリア支部現会長で、世界最大級のショッピングセンター開発業者であるウェストフィールド・グループの元最高リスク責任者であるイーモン・カニンガムに贈られた。カニンガムはオーストラリアのリスク・保険業界の発展に大きな影響を与えてきた。オーストラリアとニュージーランドで正式なRIMSのプレゼンスを確立する上で重要な役割を果たしただけでなく、オーストラリア不動産評議会の議長を務め、米国テロリズムリスク保険法(TRIA)の現地版であるオーストラリア再保険プール公社(ARPC)の開発において政府高官と緊密に協力した。

 「驚くべきリスクマネジメントのキャリアを通じて、エーモンは自分の時間と専門知識を、専門職を前進させるだけでなく、他のリスクリーダーが彼と一緒に成功する機会を創出するために献身的に捧げてきた」とRIMSのCEOであるゲリー・ラブランシュ(FASAE, CAE)は述べている。「ハリー・アンド・ドロシー・グッデル賞は、リスクマネジメントのベスト・オブ・ザ・ベストを称える賞である。RIMSは、イーモンの並外れた貢献と、自身の経験を共有することに対する揺るぎないコミットメントに心から感謝している。この栄誉ある賞を授与できることを光栄に思う」と述べた。

 ロサンゼルス郡政府でリスクマネジメントとプライバシーを統括するスティーブン・ロブレス最高経営責任者補佐は、2024年リスクマネージャー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。ロブレスと彼のスタッフは、郡の100,000人の従業員、38の部局、446億ドルの予算、1000万人の住民、88の都市、120以上の法人化されていないコミュニティのニーズに対応するために、複雑なリスクマネジメントプログラムを構築した。

 「世界第21位の経済規模を誇るこの巨大組織のリスクマネジメントに対するスティーブンのアプローチは、リスクのコストを最小限に抑えるという特別なものだった。RIMSによると、「この課題を達成する鍵は、郡のリスク文化と運営能力を改善することへのコミットメントを必要としていた。多くの成果の中で、彼のチームは、コストをコントロールし、債務を削減するための複数年計画を実施した。これには、破滅的な損失のリスクから保護するための商業保険の購入の拡大、郡で働かなくなった従業員に対する労災請求を確定するための積極的な請求停止プログラム、長期的な労災債務を削減するための包括的なリスクファイナンス計画の開発と実施などが含まれる。」

 ロブレスと彼のチームによると、このリスクマネジメントによって、郡を「完全に自己保険の依存している組織から、ほぼすべてのリスクについて完全に保険をかけた組織」へと導いた。さらに、RIMSは、「昨年1900万ドル以上をカバーした強固な損失回復プログラム、1000人以上の労働者の補償請求を停止し、過去10年間で郡を何百万人もの救済をした和解・救済プログラム、リスクマネジメントプライバシープログラム、パラメトリック地震プログラム、その他無数の革新的な戦略を制定した」と述べている。

 タタ・コンシューマー・プロダクツ社保険担当上級管理者ムラナル・パンディットが、リスクマネジメント・オーナー・ロールに選出された。パンディットは、インド有数の消費財企業の保険・非保険事業リスクを監督するほか、インド保険研究所のフェロー、RIMS-CRMP資格保有者で、さまざまな業界誌に掲載されたリスクマネジメント関連記事の著者でもある。

 支部レベルでの顕著な貢献に対するロン・ジャッド・ハート RIMS賞は、チェンバレン・グループのリスクマネジメント担当取締役であり、RIMSシカゴ支部のリーダーであるジュリー・ビーンに贈られた。

 RIMSはまた、協会の過去および将来のリーダーを承認した。RIMSライジングスター賞は、フェデレイティッド・コーペラティブズの保険・リスクアナリストであるチェルシー・アンドルシアクに授与され、彼女の卓越した取り組み、ボランティア精神、専門能力開発、業績、リーダーシップの可能性が認められた。ジョー・レストールとミリセント・ワークマンは、この職業の発展にキャリアを捧げた後、リスクマネジメントの殿堂入りを果たした。

 レストゥールは引退前、ノバ・ケミカルズ・コーポレーションのリスクマネジメントリーダーであり、1997年には米国ガス協会リスクマネジメント委員会の議長を務めた。1997年から2000年までRIMSカナダ評議会の議長を務めた後、RIMS理事会の様々な役職を歴任し、最終的には2009年にRIMS会長を務めた。2024年3月に亡くなったとき、彼はウィリアム・H・マッガノン財団の会長を務めていた。同財団は、助成金、教育プログラム、学生中心の取り組みを通じて、カナダのリスクマネジメント教育を支援するために設立された非営利団体である。

 ワークマンはリスクマネジメント業界の先駆者であり、最終的には1992年に事業保険のリスク・マネージャー・オブ・ザ・イヤーを女性として初めて受賞し、2000年にはビジネス・インシュアランス誌の「保険業界のリーディング・ウーマン100人」に選ばれ、2002年にはテネシー州保険の殿堂入りを果たした。彼女は2005年にCPCU協会の会長を務め、事業継続計画に重点を置いた連合であるビジネス緊急事態準備協議会とメンフィス災害復旧ビジネスアライアンスの共同創設者でもあった。2007年に国際リスクマネジメント研究所(IRMI)に入所し、2023年に退職するまで研修・教育ディレクターを務めた。

 「リスクマネジメントには、時間を割き、経験を共有し、現場の人々に惜しみなく力を与える優れた専門家が数多くいます」とラブランシュは言う。「ジョー・レストゥールとミリー・ワークマンはリスク・コミュニティの模範であり、彼らの遺産は今後何年にもわたってリスク専門家にとってインスピレーションの道標であり続けるであろう。RIMSは、ジョーとミリーのリスクマネジメントと保険への貢献を称え、彼らをRIMSリスクマネジメント殿堂に迎えることを誇りに思う。」

 受賞者とそのリスク専門家としての歩みについては、『リスクマネジメント誌2024 RIMS賞特集号』をご覧ください。

トピックス
リスクマネジメント



注意事項:本翻訳は“ RISKWORLD 2024: And This Year’s RIMS Award Winners Are…”, Risk Management Site (https://www.rmmagazine.com/articles/article/2024/05/08/riskworld-2024-and-this-year’s-rims-award-winners-are ) May 2024,をRIMS日本支部が翻訳したものです。原文と和訳に相違があるときには、原文を優先します。本文中は敬称略です。
ヒラリー・タトルは本誌編集長。

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